Vatican美術館 その1

2年越しになってしまったオフ会報告。
書きすすもうとして、はてどこまで書いたんだったかそれさえも忘れていました。(笑)

こんな私ですが、今年もよろしくお願いいたします。


さぁ、きょうはVatican美術館の編です。
美術が大好きなめいこさんのおそらくウフィッツィ美術館に並ぶ待望のところだろうと思いますので、じっくりとご案内いたします。

日本の方にはかのシスティーナ礼拝堂の修復を日本がスポンサーになって完成させたときからシスティーナに関してぐっと理解が深まったようですが、外国のかたがたはそのシスティーナが何であるかさえわからずに見学に来られます。
「とにかく名前は世界中に知れ渡っているので、一目みたい。
でも、シックスティーンじゃなくてひとつで十分です。」
こんなことをおっしゃるお客様がいらしてPaoloはがっくりさせられることがあるようです。

システィーナ礼拝堂はシスト4世という法王の時代に建てられた法王専用の礼拝堂です。
でも、要塞にも使われた建物で、外からはその内部に規模・質ともにすさまじい壁画が壁や天井一面に画かれているとは想像もできないような建物です。

ついでながら、ヴァティカン美術館も、歴代の法王たちが収集した美術品を展示していますが、建物そのものも法王たちの居城なのです。
キリストの代理人である法王ですが、キリストが願った清貧の生活とは程遠く、法王に選出されると以前の法王の居室では我慢ができずに自分用に新しく部屋を増設することが続き、今のように複雑に入り組んだ建物になりました。
その一部を美術館として開放しているのです。
ですからヴァティカン美術館へ足を一歩踏み入れたとき、われわれは歴代法王の居城をも見学することになるのです。

法王は何世紀にも渡ってヨーロッパでは最高の権力者でした。
その権力に任せて時には夜陰にまぎれて盗んできたものもあるということで、コレクションの数は計り知れません。
今展示されているもの以外にも、まだ倉庫に眠っているもの、修復中のものがおびただしくあるのです。
そして一般公開されているものだけでも、その全部を見ることは丸一日かけても不可能といっていいでしょう。

そしていくら興味があっても、固い大理石の床を2時間も歩き続けるとほとほとつかれてしまいます。
その極限一歩手前でおさえたいと思うのですが・・・(笑)

美術館に入ってすぐに見えるチケット売り場は団体用なので、個人客はさらに上の階のチケット売り場へ行かねばなりません。
と最初に行ったチケット売り場の方に言われてしまいました。
かつては一日に2度入ることもあったほどなのにねぇ。
98年の5月に仕事をやめてからはほんの数回しかいったことがないし、9月11日事件(日本ではなんと呼ばれているのか知りませんが)以来、警護のために入り口付近が大改造されてしまって全く勝手が違っていました。

さて中に入ったら、まずこの後安心して見学できるようにトイレを済ませておきましょう。
エレベーターで地下に降りたところにトイレがありました。
以前は掃除の方が入り口におられたので小銭を用意していったものですが、この日の感じではその必要はないようでした。

さっぱりした後(笑)まず入ったのが「絵画館」です。
あ、その前にバルコニーからサン・ピエトロ寺院の大きなクーポラを背景にして記念撮影をしました。
ここは、地上130メートルものクーポラを唯一背にして写真が撮れる場所なのです。
25_1.jpg まみるさん撮影

ここにはキリスト教のテンペラ画から近代絵画まで(約13世紀から18世紀)が次代順に並んでいるので、絵画の流れをつかむのにもってこいの所です。

また入り口には何の関係もなくMichelangeloの若いころの傑作、「ピエタ」像のつまらないコピーがあります。
本物の「ピエタ」がガラス張りの中に入ってしまってからは、コピーであることを断ってここでその詳細を説明します。
特にこの作品はミケランジェロの生涯でただひとつ彼が名前を掘り込んだ作品なので、その名前の掘り込まれたマリア様のたすきのところを特に説明します。

そして最初の3つほどの部屋では、硬い感じのテンペラ画が目に入ります。
おびただしい数の宗教画が残っているのにはふたつの大きな理由があります。
まず、ローマ時代には女性の詩人もいたほどに教育の程度が高く、市民のほとんどが読み書きができたというのに中世には貴族階級と聖職者しか読み書きができなかったのです。
よかったらこちら『イタリアの中世』も参考にしてください。)

そこで、キリストの教えを伝えるときに、聖書が読めない人たちのために、聖人たちの姿や、いろいろな奇跡の場面などを絵に描いて教えたのです。
ギリシャ正教では厳しく偶像崇拝を禁止していますが、カトリックは人に優しいのです。^^
偶像があったほうが気持ちを投入しやすいですよね。

もうひとつの大きな理由は絵をかかせることのできる財力と権力を持っていたのが教会だけであったということです。
教会がスポンサーなのですからいきおい絵の内容は教会に都合のいいものになってしまいます。

さて、14世紀に入るとチマブエ、ジョット、シモーネ・マルティーニなどという聞いたことのある名前が出てきます。
ここにもジョットの初期のテンペラ画の祭壇があります。
祭壇画も数多く描かれていて、それらは教会だけでなく、自分の居城に礼拝堂を持つ裕福な貴族たちからの注文でもあったようです。

ジョットは遠近法を手探りで勉強したひとですが、初期のものにはその試行錯誤が見てとれます。

なんだか美術館の説明ばかりで、hitomiさん、まみるさん、めいこさんの様子が出てきませんが、彼女たちはとってもお行儀よく、静かに私の説明を聞いてくださっているのです。
またこの美術館はシスティーナ礼拝堂以外はフラッシュを使わなければ写真をとってもいいことになっているので、写真が好きなまみるさんはそっちのほうも忙しいのです。^^

そのあともフラ・アンジェリコやフィリッポ・リッピ、ベノッツォ・ゴッツォリなどの絵が続きますが、メロッツォ・ダ・フォルリの部屋に来るとほっとします。

そこには初めてフレスコ画が画かれているのです。musei.gif

まみるさん撮影
正確にはフレスコ画をはがして運んできたものを展示しているのですが・・・
内容も音楽をつかさどる天使たちで、これまでキリストと聖人たちばかりのいささかいかつい顔ばかりだったのに比べると栗色の巻き毛の天使たちはほんとうに心を安らかにしてくれます。

このあたりからをルネッサンスと呼んでいいでしょう。
すると次の部屋にはラファエロの師匠ピントゥリッキオと父親の作品がありますが、父親の作品は彼の最高のできばえのものではなく秀作とはいいがたいものです。

そしてその次のひときわ大きな部屋に、ラッファエッロの作品が並んでいます。
ここが絵画館のもっとも奥の部分です。
部屋の周囲にはラッファエッロが描いた下絵に基づいておられた緞帳が掲げられています。
内容はキリストにまつわる奇跡(水上を歩いたなど・・)です。

正面には3つの大きな絵が掲げられており、彼の初期と最盛期の絵を両側に、中央にはひときわ大きな最後の作品「キリストの変容」があります。
25_25_s.jpg

この作品を書き始めていたときに突然の病に倒れたラッファエッロはもちろん仕上げることができなかったので、半分以上弟子のジュリオ・ロマーノの手によって完成されたものです。
サンピエトロ寺院内にはこの絵を基にした非常に細かな手法のモザイク画があります。

この部屋を出ると、次に待っているのはレオナルド・ダ・ヴィンチの残した絵。
さらにヴェネツィア派の画家の代表ともいえるティツィアーノ手によるいくつかの肖像画、そして個人的に大好きなカラヴァッジョとバロックの生みの親ベルニーニが趣味で描いた自画像などが並んでいます。
これらをここで一つ一つご紹介していてはちっとも先にすすみませんので、これくらいにしておきます。

このように興味深い絵画館を出て、松ぼっくりの広場で外気を吸いながら大きな写真を使って最終的にたどり着くシスティーナ礼拝堂の説明をしました。
システィーナは礼拝堂ですから、教会の中と同じように静かにしていなければならないのです。
ですからガイド時代もここで説明させられました。

いささか長くなりましたね。
この先は次回にいたしましょう。